太陽に充分照らされ未だ少し温かい洗濯物をどさっと畳の上へ置くと、どこからともなく現れてその小さい山に乗っかり毛づくろいを始める。机の上の手ぬぐい、どうにかして床に落とした干しておいたはずの茶巾、どんなに小さい布でもその大きさに体を合わせ、窮屈そうなのにその上で熟睡している。
わかる。
布に触れているとなんか安心するからね。特に自分は周りの人よりもそれを必要としている時が多い気がする。過去になんとか症候群だと教えてくれた人もいたが、一番気になるきっかけには近づけず、結局まあいいかと宙に浮かせておいたままだった。ところが、最近友だちから借りた本を読んで思いがけず心が熱くなった。
「子どものころから潔癖症でもないのに口の周りが気になって食べているそばから汚れをぬぐわないと気がすまないという癖があり、それは、自分がまだ赤子のころ食事中に口の周りを汚すたびにお父さんが拭き取ってくれていたからで…」
みたいな内容だったと記憶しているが、自分も潔癖症ではないのに全く同じ癖があり、これを読んだときに、ものすごい早さで頭の中に豆電球が灯った。
匙ですくったごはんを食事介助が必要になった親の口へ運ぶ。そんなことを思い浮かべてみた。そのとき彼らは何か思い出すのだろうか。