あんなに何度も観た映画に、実は話しの続きがあったのを最近知った。
自分が見たことのある最後の場面は当初この作品の冒頭だったそうで、当然その続きとして撮影が進んでいたが途中で別の方向へ舵を切った、というのが事の顛末なのだが、自分が知っている最後の場面の続きの数分を偶然見つけて、あれ、こんな話だったっけと一瞬我が記憶を疑った。
この映画の中で表現される時間の感覚がすごく好きだった。交わる人のつかの間を借りほんの少し補って、また癒やされない日常に戻っていく。そういえば続きの数分は給油所の映像だったな。
彼に送ってと頼んだの
初めての人とこんなに近く
すぐに別れるのはわかってたけど
この温かさは永遠だった
前出の最後の場面。
二輪で疾走するふたり。いつも夜の中にいて隠れていたものがはがれそうな明け方。かすかな光が急に涙を誘って、先に友だちが席を立っても追いかけなかったことを、劇場公開から二十年以上経った今になって思い出したのは何でだろう。